毛綱毅曠【奇才建築家】設計のくびき駅はなぜ宇宙船なのか【新潟県 上越市】

今回の【つくねの生きてるうちに行ってみたいするめ処】は……。

唐突にこんなスペーシーな雰囲気出されたら…行きたくなっちまうよ……。

ということで新潟県上越市頸城区にあるくびき駅

いってみましょう。

※日本の噛めば噛む程味わい深い場所をするめ処と勝手に呼んで盛り上がっています。

まずこれは本当に駅なのか??という疑問なんだけど、ちゃんと駅です。正確には、ホームに向かうまでの入り口というか手前の部分。
北越急行ほくほく線の無人駅【くびき駅】になります。

ここでほくほく線の話。
このナイスな名前の路線は新潟県の魚沼市の六日町駅から上越市の犀潟(さいがた)駅を結ぶ地域に密着した鉄道です。

詳しくは鉄道チャンネル様に。
こちらの記事が面白くて、夜のトンネル探検のイベントをやられててその様子はもう。

そんなくびき駅なんですが、内部もえぐい。

宇宙船、宇宙基地、どこか足摺海底館(過去記事)を思わせる昭和レトロなSF感。チャー研臭がします。

ただ。このくびき駅。単にノリと勢いでどこの誰ともわからんよくわからない人が作ったのではなく…!

世界的な建築家である釧路の奇才、毛綱毅曠(もずなきこう 1941〜2001)氏によって設計されたのである…!

ということでくびき駅の産みの親である毛綱毅曠氏のことを語りたい。
炸裂してるんです。ワクワクが。ドリームが。

毛綱毅曠氏の建築哲学。

機能性と合理性への挑戦。なんならアンチ。
ウィ。
つくねが説明するよりも見たほうが早い。
この建物↓

毛綱氏が31歳の時にお母様の為に設計した処女作【反住器】。名前がもうな。

一見窓が奇抜ねーくらいに見えるが、これ中が立方体の部屋と家具で3重の入れ子になってて。下のサイトに詳しく書いてあります↓
釧路が生んだ奇才・毛綱毅曠(もづなきこう)の建築を追う

私はこれがとても好きでして。なんというか私は物理的にもそして概念的にも【隙間】っていうものに憧れがあるようで。与えられた(押し付けられた)場所より偶然できた空間を見つけたワクワク感とそこに身を置くマイノリティゆえの安心感と孤独感というか。包まれ感的な?伝わるかしら的な?
単純に「あ、この空間良いな」って思いました。

他にも毛綱毅曠氏は、釧路市立博物館や釧路フィッシャーマンズワーフMOO、石川県の能登島ガラス美術館等たくさんの素晴らしい建築物を世に送り出している方でして。
気になった方は調べてみると面白いですよ!
自分は反住器が一番好き。サイズ感と住宅っていう身近さが好き。

で、話は戻る。
何が言いたいかというと。

くびき駅。

さっきも書いた通り毛綱毅曠氏の設計だから……。

尖り散らかしております。

反住器では【ただの住む器としての住宅へのアンチテーゼ】でしたが、そのマインドを少なからず駅舎にぶち込んだのがこのくびき駅。
くびき駅に掲げられている設計コンセプトのプレートには

・駅とは本来、日常とは異なる場所への出発の場(略)
・駅本来の役割を訪れる人々に感じてもらえるようにと(略)
・従来の駅にはないエネルギーを発信して、その存在をアピール(略)

と書かれていて。

駅としての合理性と機能性、常識を一度否定し、日常とは異なる場所への出発というテーマを再構築。これは反住器ならぬ合理性の塊である公共施設へのアンチ。反駅舎なのでは…!

出発といえば始まり。
始まりといえばビッグバン。
ビッグバンといえば宇宙。
よし!くびき駅は宇宙にしよう!

…という流れだったかどうかはわかりませんが、実際くびき駅は宇宙でコスモでスペーシーでありまして。

確かに従来の駅にはないエネルギーを発信している。

上の内観の赤く丸いガラスなんて太陽系&宇宙の広がりなんですって。
ぶら下がっている雲みたいなのはなんだ。
下の外観の真っ赤な杉の板壁は太陽エネルギーなのか。

くびき駅

いや最高か。

機能より思想で建築する変わり者。
メンテナンス性や使用性がドゥンな建物建てちゃう鬼才&奇才。毛綱毅曠氏。

メンテ性なぁ……。
実際くびき駅はいろいろ剥がれまくったり、水垢やら錆汁やら垂れまくりで北斗の拳風味な未来のディストピアで過去の遺産として砂被ってそうななんともな味が出ちゃってて。

使用性なぁ…。
曲線使いまくりで内部も楕円なので世に出回る既存の設備とはまぁ合わなかったりしてね。自販機の隙間とかもうほんとねって感じでして。

でも。

合理性、機能性以外の人の手による【余白】みたいなのが好物のつくねからしたらえへーへーでして。そもそもそういう余白が↓が好きなわけで。


実際こうやって書きながら妄想垂れ流しているだけで滅茶苦茶行きたくなってて。

ただもし行けるなら、ほくほく線の各駅に降りて駅周辺ぶらり旅と抱き合わせとかどうだろうか。ゆるく食べ歩きとかしながら。うんいい。

最高のするめ処、新潟県くびき駅でした。

∞つくね∞