干拓地に冬ソナの道と呼ばれるメタセコイア並木があるのだが……【石川県 河北潟】

メランコリック
メタモルフォーゼ
メーキャップアーティスト

【メ】から始まるカタカナ言葉は問答無用でかっこよすぎると相場は決まっているわけだけどもな。

その中でも一番かっこいい言葉。

メタセコイア

ということで今回の【つくねの行ってみたいするめ処】は……

河北潟メタセコイア並木

ただ。

これが。

ただの並木じゃないんだ。

この並木がある場所の歴史がもう……。

で、場所はここ。石川県の河北郡。

石川県のカリスマレジェンド金沢市から少しだけ上に行ったら出てくるのが……

今日の主役である……

河北潟です。
※(かほくがた)と読みます。

で、メタセコイア並木はこの河北潟という干拓地にあるんだけど、この河北潟を知らずにメタセコイア並木は語れんのですよ。

まず。

この河北潟は潟湖
元々は海だったんだけど、内灘砂丘がわーっとやってきて海をせき止めてもうて。
で、切り離して残されたそのでかい水溜りみたいな部分が湖みたいになって。

※これはトルコの潟湖

※イメージです↑

だから当時は海水と淡水の間ぐらいの塩分のの【汽水湖】だった。

で、1672年。

加賀藩主の前田綱紀が、
「この土地やばくね?」と。
「この湖畔に田んぼ作ったら熱くね?」と。

「「「「開墾すんぞぶるぁぁああああ」」」」

これがこの河北潟の始まり。

で、その後もちょこちょこいじりながら、時は1851年。

豪商である銭屋五兵衛が、
「俺金出すから、皆の衆この潟湖を干拓すんぜ」と。

銭屋五兵衛
地元住民雇うぜうぇーい!
干拓うぇーい!

そしてこの銭屋五兵衛。

地域住民とガチ揉めします。
原因は金。
そしてブチ切れ収まらず「他の場所から使える人雇ったんで地元住民もういいわ」と地元住民全員クビ。
当然。
地元住民全員ブチ切れ。
からの
干拓作業妨害。
ディストピアか。

そして銭屋五兵衛は言いました。
「やべぇなんか知らんがめっさ妨害されててかなり遅れてるわ」
「もう年だから生きてるうちに完成させてぇわ」

で、ここで銭屋五兵衛ミスる。

焦って埋め立てに石灰撒いた
石灰自体は別に毒ではないんだけど、銭屋五兵衛ここで運が悪った。

たまたま撒いた場所が悪くて魚窒息死。
それをあろうことか地元住民偶然発見。

「あいつ毒撒いてやがんぜぇ!!」

「いや誤解だから!」と否定したけど、受け入れられず銭屋五兵衛なんと投獄
そしてなんと獄死。財産没収。家名断絶。

いろいろとんでもない話だよ。

で。
なんやかんやえっさほいさあって、時を経て昭和。
昭和恐慌やら漁業の不振とかもあって、
「いやマジにここ干拓して水田作ろうぜ」と。

そんな機運が高まってきつつ第二次世界大戦。

もう我慢できんぜ!
水田たくさん作ってよ!
皆でお米いっぱい食べようぜ!

地元住民辛抱たまらんくなって。
そして戦後になり想い爆発。
国の支援もあって、歴史上最も本気中の本気のガチ干拓が始まりました。

そして……

1985年、なんと約1100ヘクタールものバカでかい農地が完成
いやっほう!
(1100ヘクタールがピンと来ないは、東京ディズニーランド21個分を想像するんだ)
そして金もかかった。総事業費なんと300億円。

もう狂喜乱舞よ。

よっしゃーー!
米作るぜーー!
人入れるぜーーー!
河北伝説の幕開けじゃーー!

政府から一言。

「減反政策よろ」

!?

「減反政策よろ」

!?!?

「米余ってるんで代わりに畑作れや」
「てか米作んなや」

いや……

米作るつもりで干拓したんだから無理よと。
湿地帯ですと。
水ハケ極悪アウトレイジですと。

政府「畑よろ」
政府「畑よろ」
政府「畑よろ」
政府「畑よろ」

うん……


切れたわ。

俺引っ越すわ。
あ、俺も引っ越すわ。
あ、じゃあ俺も。
俺も俺も俺も俺も。

この河北潟に移って米作ることを楽しみにしてた人も

なら行かねーわ。
その土で畑無理ゲーすぎだろ。
てか米作りたいねん。
すんませんキャンセルで。
あ、じゃあ俺も。
俺も俺も俺も俺も。

未然に対処できた方はまだ良い。

米を大量生産するでー!
土地たっくさん買ったからなー!
バリバリ働いてローン返済やー!

政府「畑よろ」

大量の土地ローン&畑に強制転換縛りプレイ。

これ詐欺やん。
絶対に痩せる言うたやん。
小ジワ埋まる言うてたやん。

そして現在。

未だに米作れてません。
未入植地たくさんあります。
ちなみにそこは雑草地になってます。

……

以上。
水田耕作ができない河北干拓地の話でした。

で、そんな河北潟にな……。

干拓が完成した1985年に干拓地のイメージアップのためにな。

植えられたんが、メタセコイア並木なんよ。
干拓地の魅力をアピる為に270本が2m間隔で植えられてるんよ。

あまりにも綺麗で冬ソナっぽいから冬ソナの道なんて呼ばれててさ。
インスタグラマーなんかがパシャっちゃってさ。
自分も軽い気持ちでこのメタセコイア並木調べたら、こんな重たい背景があってさ…

なんかもう……

明るくいこう。

で、このメタセコイア。
樹形がとても美しい。
なんというか。
『木』っぽい。
頭に『木』を思い浮かべたらそれはメタセコイアと言わんばかりに『木』っぽい。

個人的にメタセコイアの好きなところは紅葉の色。柿渋色っぽく変化して言ってすごく良い色味のまま葉が落ちていくんよな。これが好き。

で、成長も早く見栄えも良いから、並木によく使われる。
でもバズるメタセコイアの並木には条件があって。

それは。

開かれた場所にあればある程大人気。

滋賀にあるド有名なマキノ高原の大御所メタセコイア並木も開かれた場所にあって。

メタセコイア並木

↑マキノ高原のメタセコイア並木

開かれた場所に一本の並木道。
これが映えるフォトジェニックな条件。
※個人の意見です

で、河北潟のメタセコイア並木も開かれ具合は負けてない。
いやむしろ周りに山が無い分、空の抜け感は勝ってるかもしれん。

なにせ。
なにせ周りは雑草地が多いもんでな……泣

最後に

メタセコイアの和名はアケボノスギ
で、花言葉は平和

あけぼののように暗い夜が明けて平和になるという思いが込められた河北潟メタセコイア並木。
干拓地としてのすったもんだを知ってるだけに涙腺刺激してきやがります。

次回はこの場所から徒歩で行けるかなりぶっとんだ巨大ヒマワリ迷路です↓

全長1kmの巨大ヒマワリ迷路が真っ赤なクリムゾンクローバーで埋まる理由【ひまわり村 石川県 河北郡】
石川県河北郡津幡町に全長1kmの巨大ヒマワリ畑の迷路がある。その迷路は大人も迷うガチ迷路だという。その巨大ヒマワリ畑は春には真っ赤な花で全て埋まるらしい。どういうこと!?

∞つくね∞