江戸城と小田原城の石垣はここから来た【番場石切り場跡 真鶴】


目を瞑って【お城】を想像してください。
と言われると、ほぼ100%の人が石垣があるお城を想像するんだそうな。

でも実は関東のお城で石垣があるお城はとても少なく、有名なのは江戸城と小田原城、あとは石垣山一夜城くらいです。

これはいろんな理由があるのですが、一番の理由として、石垣に適している良質な安山岩や花崗岩が採れない(にくい)ことが挙げられます。
関東ローム層でしてな。
最高に関東ローム層でしてな。

もう一つの理由としてその関東ローム層が土塁に適していたからです。
粘土質でビタッとか固まって崩れにくいし表面は滑りやすいという、攻めにくい土壌なのです。これ使えばよくね?の精神です。

他には力の誇示という政治面でも石垣に重きが置かれなかったりとか細かな理由もたくさんあり、結果関東では石垣ムーブメントは起こらなかったわけです。

そんな理由があれば「無理して石垣作らなくてもいくない?」ってなったのもなんだか頷けます。自分だったら絶対作りません。見た目より中身派。大変なこと全般したくない派。

でも冒頭の通り流石の江戸城と小田原城。
石垣あるんです。
で、やっと今回のテーマ。

その石は一体どこから来たの??です。

答えはいろんなところ。
いろんなところ。
いやほんとに。
テキトーなわけではなく、本当に全国各地から運ばれてて、遠いところからだと瀬戸内海からも運ばれてたりします。
切り出した石を船でえっちらおっちら。
だから石切場から船で輸送中に相当数沈んだらしいです。バランスが崩れると重さが半端じゃないのでそのまま……
本当に大変な作業なんですね。

で、話を戻すといろんなところから運ばれてきた石ですが、その中でも中心となり最も多く運ばれたのが伊豆です。

静岡県の伊豆半島は火山半島で石垣に適した良質な石がたくさんあり、そこから切り出して、陸路&水路で運ばれたわけです。

その為伊豆半島にはかつての石切場の跡がたくさんあります(そっちも今後ぜひ行ってみたい)。

で。

今回のするめ処はその石切り場の中でもシーサイド。波打ち際にある石切り場に注目して見に行ってきました。
波打ち際の石切場ってなんだかロマン。
見たことないし。

その名も番場石切場跡。

番場石切場跡は真鶴半島の番場浦海岸の端っこにあります。

そこに朝4時起きで行ってまいりました。
ねみぃ。
ねみぃよ。
到着した時にはもう本当に眠くて波音を聞きながらゴロリ。

結果握り飯悲劇(動画)。

番場石切り場跡

波音を聴きながら握り飯

番場浦海岸は砂浜じゃなくて、拳より大きい石がゴロゴロバージョンのそらもう歩きにくい海岸で。
だからこそ陽の気を撒き散らす者たち(悪意なし)が来ない落ち着いた場所でして、もうここがするめ処で良くないか?と陰の気をひり出し続けるつくねは密かに思いました。

釣り人には人気なスポットで到着した時には朝早くにもかかわらず2名の方が。その後も何名か来てました。

番場石切場跡を見た時の感想。
これ正直に言う。
本当に正直に。

地味。

伊豆には石切り場単体ではもっと強烈な場所がたくさんある。大規模に切り抜かれてインディージョーンズみたいな場所がたくさんある。

番場石切り場跡と船

そんなストロング丁場に比べると番場石切場跡は一段も二段も地味だと思う。

ただこの番場石切場跡が負けてないことがある。
それは……

非日常感。

海に浸かってザパーンな場所がカックカクで光と影のコントラストが独特で。
切り抜かれた場所がプールみたいになって波紋がその石壁に映ってゆらゆらで。

うまく言えないけど、とにかくその場所に身を置くと体験したことのない非日常感。自分は特別な場所にいるんだという優越感があって。

じーっと切り抜かれた石壁を見ながら、矢穴にクサビを入れて波をかぶりながら力いっぱい打ち込む当時の人を想像。
この妄想こそが史跡を訪れる醍醐味。

水路で運ばれる石たち。
さっきも書いたけど、途中で沈んでしまうのもあったり本当に大変な作業だと思います。
すげーすげーとジョイフル脳内妄想。

史跡巡りって、歴史を知らないと面白くないし堅苦しいと感じたり。
でも事前にそれっぽいサイトを3分くらい調べてあとは現地で妄想して美味しいおにぎり食べて帰ってくればそれで十分楽しくて幸せ。

ここからは番場石切場行ってみたい!って人向けの情報をば。

番場浦海岸はちゃんと駐車場はあるけど、奥は有料、手前は無料。
どちらを選ぶかはあなた次第。

動画冒頭の階段から行く道は結構なオフロードにつながる道もあるから、ちゃんと周りを確認して階段を探して行くと良い。膝が逝ったよ。

濡れても良い靴があると散策がしやすいです。つくねは持ってなかったので、少し濡れた後「もういいっしょ!」と。毎回足濡れるのよな。

ということで番場石切場跡でした。

∞つくね∞