ビジネスホテルで体験した怖い話(ゴリゴリの実話)

※ちょいと怖い系の話です。苦手な方は別記事へ。

ある夏。
私つくねは地方のビジネスホテルに泊まりました。
ネットで調べて、コの字型のわりと大きなホテルで値段がとても安かったので、ラッキー!とすぐに予約しました。
しかし到着してみると納得。ネットの小さな画像では気付きませんでしたが、お世辞にも綺麗とは言えず、作りも内装も古くところどころ傷んでいました。匂いも良くなく、廊下がなぜか異常に薄暗い。安さに納得。

部屋はまぁ……うん。狭めのTHE・ビジホな部屋。とにかく古くて傷んでいる。まぁ寝られればいいや。荷物を降ろして少ししたら。

暑い。

まるでクーラーが効いていないような。

部屋から設定イジれないタイプのホテルでとにかく暑い。フロントに確認してもその設定がMAXで涼しくしてるという。本当か。暑すぎてこれは……。仕方ない窓開けてパンイチでベッドの上でゴロゴロ。

なかなか寝付けずしばらくしたら。
部屋の電話が鳴った。
フロントかな?
流石にエアコンの設定間違ってたか。

電話に出たら先程とは違う女性の声

「あの……」

どこか無機質な声で。

「今まであなたをずっと見てたんですけど」

……。
は。

「窓からあなたをずっと見てたんですけど」

思考が止まった。

瞬間背中が自分の体じゃないみたく冷たくなって。

「私今暇してて」

どうやって。

「あなたと仲良くなりたいので」

部屋に電話を。

「部屋わかるので」

ああ。

「今からあなたの部屋に行ってもいいですか」

コの字だもんな。

「……よね」

一方的に電話は切れた。

弾けるように窓を閉めて服を着た。
鍵を確認して気配を消してドアから離れた。

来るわけない。

すぐ。

「コンコン」

「コンコン」

息を殺す。

「コンコン」

気配を殺す。

「コンコン」

なんだこれ。

「コンコン」

途中理不尽な恐怖からの怒りから一言言ってやろうとも思った。

でも。

ノックの回数が普通じゃない。
ノック間隔が普通じゃない。
ノックの音質が普通じゃない。

リズムも音質も一定の音。
ある間隔で繰り返される決まった音。

ずっと止まらないノック。

もう止まるだろうと思って止まらないノック。

先ほどの感情を感じない声が頭に。
そのうち視界がグニャってなって。

「コンコン」

そこにいる存在は。

「コンコン」

普通じゃない。

最初のノックから、どれくらい経っただろうか。
音が鳴ってる時より止まった時の方が怖かった。
別の行動を始めたらと思うと怖かった。

音が聞こえなくなって15分は経っていたと思う。

静か。

だんだんと冷静になって。

ドアの前にゆっくり近づいた。
まだいるか確認しないと。
まだいたら。
確認しないと耐えられない自分がいて。
でも。
スコープから覗いて顔があったら。
その顔を見てしまったら。

茹で上がった頼りない脳みそが出した結論は、その場でしゃがみドアと地面の隙間から外を確認すること。

見えるわけない。
いるわけもない。
当たり前だ。
そう願って。
しかし安ホテル。しっかり隙間があって。
目を近づけたら。

見えたのは。

紫。

一瞬理解ができなくて。
そしてすぐにそれが
ドアの前に立っている女性のパンプスの色だとわかった。

両足を揃えて。

ドアに当たりそうな程近くに。

ノック音が止んでから。

ずっと。

ずっと。

∞つくね∞
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結論。パンイチダメゼッタイ。